なぜ「カット専門店」だったのか?華僑の教え「三把刀(さんばとう)」から学んだ一生困らないビジネスの選び方

カット専門店経営ノウハウ

私が数あるビジネスの中から「カット専門店」という業態を選び、10年にわたって経営を続けてこられた背景には、ある古くからの教えとの出会いがありました。

それは、世界中で商才を発揮してきた華僑の間で語り継がれる「三把刀(さんばとう)」という教えです。今回は、この教えをどうビジネスの選択に活かしたのか、私の創業の原点をお話しします。

1. 世界を股にかける華僑が大切にした「三把刀(さんばとう)」という知恵

華僑の人々には「旅に出ても、この三つの刃物(刀)を持っていれば一生困らない」という教訓があります。三把刀とは、「理髪・洋裁・料理」に使われる刃物を指しており、これらはどこへ行っても生きていける「手に職」の象徴です。

理髪・洋裁・料理|生活に寄り添う「三つの技術」が持つ強さ

なぜこの3つなのか。それは、言葉も通じない異国の地であっても、人間が生きていく上で決して欠かすことのできない「衣・食・住」に直結した技術だからです。これらは一時的なブームに左右されず、時代が変わっても常に需要が存在し続ける「本質的な仕事」と言えます。

華僑が世界各地で生活基盤を築けた理由

彼らは高度な言語能力や学歴よりも、まずは「誰からも必要とされる確かな技術」を優先しました。この教えを知ったとき、私は現代の日本におけるビジネス選びにも、全く同じ原理原則が当てはまるのではないかと強く感じたのです。

2. なぜ「料理(飲食)」や「洋裁」ではなく「理髪(カット)」だったのか

生活に不可欠な三把刀のうち、私はなぜ「理髪」を選んだのか。そこには経営者としての冷静な比較検討がありました。

飲食業の現実|「華やかさ」の裏にある圧倒的な廃業率

まず検討したのが「料理(飲食)」ですが、データの数字が私の足を止めました。中小企業白書などの統計によると、飲食店の2年以内の廃業率は約50%、10年続く店はわずか1割程度と言われるほど競争が激しく、浮き沈みが激しいビジネスです。流行に左右されやすく、常にメニュー開発や集客に追われるリスクを考え、私はあえてこの道を選びませんでした。

洋裁とビジネス適性

次に「洋裁」ですが、これについては私自身の適性や興味が薄く、ビジネスとして展開するイメージが湧きませんでした。既製服が溢れる現代において、洋裁をビジネスとしてスケールさせるのは、理美容以上に難易度が高いと感じたのも理由の一つです。

3. 髪は必ず伸びる。「ストック型ビジネス」としてのカット専門店の可能性

最後に残った「理髪」を深掘りしたとき、これこそが最も安定した「ストック型ビジネス」であるという確信に至りました。

景気に左右されず、必ず訪れる「リピートの必然性」

髪の毛は、景気が悪くなっても、AIが進化しても、1ヶ月半から2ヶ月も経てば必ず伸びてきます。つまり、一度お客様に満足いただければ、次回の需要が自動的に発生するのです。飲食のように「今日はどこのお店にしようか」と毎回悩まれる業種とは異なり、気に入った理美容室を無理に変える人は多くありません。

在庫を持たず、積み上げが経営を安定させる

カット専門店の最大の強みは、飲食のような「食材の廃棄ロス」がないことです。お客様が増えれば増えるほど、その信頼が「積み上げ(ストック)」となり、経営を強固なものにしていきます。この10年間、大きな波風はあっても立ち続けてこられたのは、このビジネスモデルの堅実さがあったからこそだと自負しています。

まとめ:普遍的なニーズに投資する

華僑の「三把刀」の教えは、時代を超えても通用するビジネスの本質を突いています。

私がカット専門店を選んだのは、単なる思いつきではなく、「人間にとって普遍的に必要なサービスは何か」を考え抜いた結果でした。これから独立や起業を目指す方も、流行を追うだけでなく、こうした「一生なくならない需要」がどこにあるのかを一度考えてみてはいかがでしょうか。

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